東京都江東区門前仲町にある創業が昭和23年建築商材卸売業の老舗、株式会社オグラの社長小倉太郎さんに事業に対する考えや想い、社長就任前のお話などもお伺いしました!
―――小倉さんが会社を経営するうえで、大切にされていることを教えてください
『我々の会社にしかできないものはなにか』を常に考えることを大切にしています。
そして、同じ様な業種の会社がたくさんある中から、『なぜ自社を選んでもらえたのか』を一つひとつ丁寧にひも解いて、そこから見えてくるものが、仕組み作りや人作りなどの土台となっていますね。
―――株式会社オグラが選ばれている理由はなぜだと思われますか?
やはり人のつながりだと思います。
HPや公式LINEなどがあるとはいえ、ご注文いただいているお客様とは、しっかりとキャッチボールができないとつながっていかないと思うので、そのつながりを深める仕掛け作りをしています。
また、業種としては、人の入れ替わりが多い業界だと思うので、人のつながりは永遠ではないということも意識していることが大切だろうと思っています。
―――人のつながりを深くするうえで、どのようなことをされているのですか?
接客業としての商売ではなく、『息をするような関係』でのお付き合いを心がけています。
小倉さんに頼みたいというよりも、自然と小倉さんに頼んじゃった・・・みたいな(笑)
日ごろのお付き合いの中から、1,2を聞いて『それ11だよね!』と、思いの先を導き出せる関係が築けていることが、選ばれているポイントかなと思います。
―――株式会社オグラの強みを教えてください。
先に話したお客様との繋がりということに加えて、単に価格の安さだけでは勝負しないということです。
価格の安さだけでいえば大手にはかなわないですから、もちろん近づける努力はするのですが、当社としては例えば100円を200円にしている場合は、お客様にご理解ご納得いただいて購入していただくために、理由・付加価値をしっかりとお伝えして提示するようにしています。
例えば
『その商品を購入するのに不安がある時に、しっかりと説明して安心して購入できるようにする』
だったり、
『もしかしたら使い方が間違っているかもしれない、ということに気が付いて、本当に望んでいると思われる商品を提案する』
など、お客様の求めていることに対して150%でお答えするというようなことですね。
―――建築商材を取り扱われている会社としては珍しいと思うのですが、公式LINEを取り入れている理由を教えてください。
公式ラインは、注文の間違いを減らし、業務上のやりとりをスムーズに効率化するために、とても効果を上げています。
取り入れるまでは、圧倒的に電話やFAXが多かったのですが、言い間違い、聞き違い、勘違いからくる錯誤が多くありました。
そして、電話も鳴りっぱなしという現象が起こっていました。
それが、公式LINEを取り入れたことで、写真を撮って送ってもらうことも可能になり、確実な商品をお渡しできて、かつ時間もかからなくなったので、双方にとって業務効率化につながりました。
もちろん緊急性が高い場合は電話で対応させてもらうので、その時は逆に喜んでいただいています。
考え方としては、全てをシステム化するということではなく、必要があることにじっくり時間を割くために、可能な部分にシステム化を取り入れているということです。
―――小倉さんは会社に入られる前はどのようなことをやられていたのですか?
ミュージシャンをやっていました!
ベースという楽器を中学生の頃から初めました。
高校の文化祭の時などは、これがまぁ~盛り上がっていましたよ!
音響やオペレーターの方も入って、舞台横に大きなスピーカーまで設置されるなど、相当恵まれた環境で好きなことをさせてもらったので、すっかりはまりました。
―――なぜ、ベースを選ばれたんですか?
中学生の頃にCD屋さんに行き、工藤静香さんの”嵐の素顔“を聴いたときに、歌の後ろで低音のズンズン響く音がとっても気になったんですよ。
「一体この音はなんだ??」と調べて、まだバンドという存在も知らない状態で、純粋にベースという楽器に惚れたから始めたという感じです。
ベースは、分かりやすく目立つのではなくて、でも「なんか、奴がいないとだめだね」と言わしめるような重要な存在、というのが心地よかったですね。
今思うと、音楽との出会いによって自己肯定感が上がったと思います。
中学に入り、純粋に「やりたい」というものを見つけて取り組んだことで、自信が付いて、人前にも出られるようになったんですよ。
親にも聞いたら、私が自分からやりたいと主張したのは音楽が初めてだったそうです。
そのことがあったから、今の立場の自分がいろいろな発信をしたり、人に伝えたりできていると思います。
―――音楽をお仕事として選ばれたのはなぜですか?
中学、高校とロックだったのですが、大学ではビックバンド形式のジャズに出会い、そういう音楽を奏でるバンドに入りました。
そのバンドのOBがすごくて、プロの世界で活躍されている方も多かったんですよ。
そういった環境だったので、周りもミュージシャンになる人がほとんどで、自分も当然のように音楽の道に進んだ感じです。
―――会社にはどのタイミングで入られたのですか?
20代後半の頃、音楽活動の一環でバンド活動のマネージメントなども手掛けているうちに、人を動かしたりものづくりをすることに興味を持つようになっていました。
その同じ時期に、会社の方では引退する人が出るなど、人が入れ替わるタイミングでした。
もともといずれ会社に入ることは決めていたこともあり、その時期に自然な流れで会社に入ることにしました。
―――社長就任後、嬉しかったことはなんですか?
地元の経営者の会“中小企業同友会”に入って、業種に関係なく横のつながりを持つようになってから、それまでとは違う価値観や考え方ができるようになったことが嬉しいことですね。
経営者になってからは孤独な面もあったんですよね。
以前は、横のつながりもなくて、商売は“結局は商品の値段勝負だ”みたいな世界の中で生きていたのですが、ある時に、中小企業同友会に出会って変わりました。
そこで裸で語り合う経営者の姿を目の当たりにして、「小倉さんは何ができるの?」と問われた時に、愕然としたんです。
そこで気づかせてもらえたことが、経営者としての出発点でしたね。
そうして、自社の強みや付加価値などを考えられるようになって、決して値段勝負ではないと思えるようになりました。
今後は、私自身も心を開いて、業界や組織を発展させていきたいと思っています。
―――逆にピンチなこともありましたか?
日々、たくさん起こりますよ!
そこでは、たくさんの方たちにも助けられていて、やはりそういった時には、感謝の気持ちを素直に伝える事を大切にしています。
それは、お客様に対しても同じで、業者と現場の人との間に立っている立場としても、「納めたお客様から、こんな風に喜んでもらえたよ」など、感謝されたことを関わってくれた人に伝えるようにしています。
そういった喜びを伝えることで、生産者のモチベーションも上がるし、業界も盛りあがっていくのではないかと思っています。
―――最後に、今後の取り組みで考えられていることはありますか?
お客様が欲しいものを、すぐに、確実に、スムーズに、お一人おひとりのお客様により深く寄り添い、お客様の要望にできるだけこたえていくことを、追求し続けていきたいと考えています!
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小倉さんは、とても素直に気持ちを表現し、まっすぐに人とお付き合いをされる方でした。
そして、お客様、経営者仲間、地元の関り、、、様々なコミュニティの中で信頼され、なくてはならい存在。
子供の頃に始めたベースの、”分かりやすく目立たないけれど、絶対必要な存在”と似ている・・・。
ベースと出会い、純粋な気持ちで始めて、それがご自身の自己肯定感を上げることに繋がり、それが今の立場の土台になっていると聞きして、子供の頃に感じた「これがやりたい!、これが好き!」という感情が、いかに大切なのかを教えていただきました。
それと同時に、その「好き」に気づき、貫けた小倉さんを羨ましくも思いました。
誠実で、共感力があり、人を楽しまるサービス精神をお持ちの小倉さん。
(人インタビューの最中に、よく笑いました!!)
選ばれている理由が、たくさん見つかりました。
ご自身の事業のみならず、広い視野を持って活躍の場を広げられておられるので、これからのご活躍も楽しみにしています!!
顧客ファン化 総合プロデューサー
魅力発掘インタビュアー
赤井 律子
E-mail: ritsukoakai@outlook.jp